歯科医院のコンサルティングとは

歯科医院のコンサルティングとは、経営戦略や治療内容、人事など、歯科医院の運営について幅広く助言や知識を受けられるサービスです。コンサルティング会社の中には、歯科医院を専門に扱う会社もあり、より専門的なアドバイスをもらえます。

利益を出し続ける歯科医院の経営に有効なコンサルティング

数が増加し、競争が激化している歯科医院では、戦略的な集患を目指すコンサルティングが注目を集めています。歯科医師不足が問題になっていた1970年代に歯科大学や歯科部が新設されて以降、歯科医師の数は増加。今では全国に6万を超える歯科医院がありますが、わずか数年で廃業してしまう医院も少なくありません。

もはや何もせずとも患者が来る時代ではなくなり、集患のためには他の歯科医院と差別化して自院だけの強みを打ち出していく必要が出てきました。そこで活用されているのが歯科医院のコンサルティングです。

歯科医院のコンサルタントに相談できること・解決できる悩み

集患状況の把握・改善

集患状況は利益に直結する大切な項目です。歯科医師はあくまで歯科治療の専門家なので、集患については何をしたら良いのかわからない人も多いでしょう。

コンサルタントに相談すれば、「どんな地域から来院する人が多いのか」「患者の性別や年代に偏りはあるか」「来院者の歯科医院選びの決め手はなんだったのか」などを、患者のデータやアンケートから分析可能。地域のニーズや医院の強みを把握しながら、より多くの来院を促進するための戦略・施策を提案してくれます。

戦略の具体例としては、ホームページの改善やSNSの活用などがあります。ネットに詳しくない場合でも、サポートしてくれる会社との橋渡しやアドバイスをコンサルタントが担ってくれるので、心強いでしょう。

人材採用・育成

人材採用や育成のサポートもコンサルタントに相談できる項目の一つです。どのような人材が適しているのか、募集を募るにはどうしたら良いかといったアドバイスを受けることが可能。採用したスタッフを定着させるための施策も一緒に考えてくれます。

チームを率いるスキルや判断力を養うトレーニングや、コミュニケーションスキル、患者への適切な対応力を養う研修の実施も依頼できます。コンサルティング会社によってサポート範囲は異なるため、相談したい項目に合わせて選ぶのがおすすめです。

人事に関する相談をコンサルタントにすることで、採用のミスマッチによるサービス品質の低下や離職率の上昇を防ぐことができます。

マネジメント全般

医院内のマネジメント全般に対しても、コンサルタントからアドバイスを受けられます。目指したい歯科医院と現状との差を分析し、ギャップを埋めるための計画を考案。業務内容やスタッフ配置についても無駄がないか確認することで、今あるリソースを最大限に活用できる体制を目指せます。

医院の運営体制はなかなか内部から課題が見えにくいもの。コンサルタントによる客観的な意見を受けることで、大きな改革につながるケースもあります。

診療・物販の内容

他院との差別化を図るために、自費診療を取り入れている歯科医院も多く、診療内容の見直しは差別化や利益向上に有効です。ただし、患者にとって費用負担の大きくなる自費診療は、一歩間違うと信用を大きく損なう要因になることも。導入には慎重な検討が必要なため、コンサルタントからの意見が役立ちます。これまでのデータを分析し、適切な範囲の自費診療を提案してくれるでしょう。

また、利益の安定化につながる物販についても相談が可能です。どのような商品を導入するか、どこに配置するか、価格設定はどうするかなど、細かくアドバイスがもらえます。

医院の改装・移転

医院の内装や立地も集患に大きく関わる要素です。定期的な改装をいつ行なうか、より来院者数を増やしたいときに移転が必要かどうか、コンサルタントに相談することで失敗を軽減できます。待合室の雰囲気やキッズスペースの有無、地域によっては駐車場の広さも医院の印象を大きく左右する項目でしょう。どのような点に気を付けて内装や移転を考えれば良いかのアドバイスをもらうことで、医院のブランディングにもつなげられます。

歯科医院のコンサルティングの契約形態

コンサルティングには、「顧問契約型」「成果報酬型」「時間契約型」の大きく3つの契約形態があります。二人三脚で継続的にサポートして欲しいのか、明確化しているいくつかの課題に対してアドバイスが欲しいのか、目的に応じた契約形態を選ぶことが重要です。

顧問契約型

専任のコンサルタントとして契約する形態です。顧問税理士や顧問弁護士のように、月や年単位で継続した契約を結びサポートを受けます。契約期間内であれば、いつでも相談できるのが大きなメリット。医院の運営に関する業務が苦手で、長期に渡って幅広くサポートを受けたいという人に合った契約形態です。ただし、短期間での契約解除が難しい、他の契約形態に比べて費用が高い傾向がある、といった注意点があります。

成果報酬型

成果に応じてコンサルティング料金を支払う形態です。業績や売上の向上、課題の解消といった成果が得られた場合のみに費用が発生するため、費用負担を抑えられるのが特徴。できるだけ初期費用をかけずにコンサルティングを利用してみたい、という人に合っています。何をもって「成果」と判断するかはコンサルティング会社によって異なるので要注意。初期費用がかからない代わりに成果報酬が高い場合もあるので、検討する際にはよく確認しましょう。

時間契約型

時間単位でコンサルティングを利用できる契約形態です。時間単位の支払いになるため、費用をできるだけ抑えられるのが魅力。どのような項目を相談できるのか、気軽に試してみたい場合に適しています。ある程度課題や改善策を考えられていて、客観的な意見が欲しいときにも有用でしょう。相談する時間が多くなるとトータル費用が他の契約形態を上回ってしまう可能性があるため、どれだけ利用するかを考えて検討するのがおすすめです。

歯科医院のコンサルティングを契約するときの注意点

費用面にゆとりを持って契約すべき

コンサルティングには少なからず費用がかかります。会社によって料金設定は様々ですが、幅広いアドバイスをもらうとなると数十万円から百万円以上の費用が発生する場合もあるため注意しましょう。コンサルティングを利用しても、医院運営が必ず改善されるとは限りません。費用に不安がある場合は成果報酬型の会社に依頼する、できるだけゆとりがある場合に検討する、といった対策が必要です。

コンサルタントの質に差がある

経験やスキル、得意分野などは人によって異なるため、コンサルタントによって対応の質に差が出ます。依頼する際には実績や評判を確認して、信頼できるコンサルタントかどうか検討しましょう。対応してもらって相性が合わないと感じた場合は、担当を変えてもらえないかできるだけ早く相談するのがおすすめです。

人によっては経理・人事・集患など、特定のコンサルティングを得意分野に持っているケースもあります。ミスマッチが起こらないように、自分の相談したい範囲とコンサルタントの得意分野が合致しているか確認することも大切です。

利益重視の体制になりがち

コンサルティングの軸となる目的は「歯科医院の利益を最大化すること」。コンサルタントは多角的な視点で医院を良くするためのアドバイスをくれますが、時には顧客の満足度や信頼を落としかねない提案があるかもしれません。コンサルタントの意見をすべて鵜呑みにするのではなく、あくまでパートナーとしてアドバイスを受ける関係性が適切。医院のコンセプトとして大切にしていることや、理念に通じる部分は自身でしっかりと守る姿勢を持ちましょう。

悩んでいることが"集客・集患"の場合、コンサルティングを依頼する前にホームページのリニューアルを検討してみるのもおすすめです。

歯科医院が増えている現代では、患者は通う医院を決める際にホームページを見比べています。ホームページを見直すだけで、来院数が大きく伸びることもあります。

「ホームページが上位表示されていない」「ホームページが見られていない」など、集患に伸び悩む原因がホームページにあるのなら、コンサルティングの利用よりもまずホームページのリニューアルを検討してみてはいかがでしょうか。歯科のホームページ制作に特化した会社もあり、マーケティングやブランディングの改善も期待できます。