歯科医院を安定して経営していくうえで、避けては通れないのが「売上」です。どれだけ高い技術力を持っていても売上がないと、歯科医院の経営を続けることはできません。ここでは、歯科医院の年間平均売上や売上を増やすために取り組むべきことについて解説します。
歯科診療所 1施設当たり医療費の推移
平成30年度 | 4,174万円(前年度比+2.2%) |
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令和元年度 | 4,264万円(前年度比+2.2%) |
令和2年度 | 4,272万円(前年度比+0.2%) |
令和3年度 | 4,489万円(前年度比+5.1%) |
令和4年度 | 4,623万円(前年度比+3.0%) |
厚生労働省が毎年公表している「医療費の動向」によると、令和4年度の歯科診療所1施設当たりの医療費は約4,623万円で、前年度に比べて3.0%(134万円)増加しています。医療法人(病院)における歯科の年間平均売上は約1億111万円で、個人経営の歯科診療所よりも約5,500万円多い結果となりました。
ただ、この金額がそのまま純利益になるわけではなく、ここから人件費や家賃などの固定費が差し引かれるので注意しましょう。医療法人だと個人経営よりも多くの経費がかかるため、差し引かれる額はさらに大きくなります。
週休2日制で祝日・夏季休暇(3日)、年末年始休暇(6日)がある歯科医院を想定した場合、年間の診療日数は240日程度になります。歯科医院の年間平均売上4,623万円を240日で割ると、単純計算ではありますが1日の平均売上は19万2,600円程度です。
歯科医院の平均売上を見てきましたが、実際のところ売上は歯科医院の規模やユニット数、立地、地域性、自費治療の割合、開業したばかりかどうかによって大きく差が出ます。そのため、自院の年間売上が平均より低いからといって、経営が必ずしもうまくいっていないというわけではありません。
ただ、「今のままだと経営が厳しい」「売上をもっと伸ばしたい」「患者数を増やしたい」と悩んでいる院長も多いでしょう。そこで、ここでは歯科医院が売上を増やすために取り組みたいポイントを紹介します。
売上を増やすうえでまず取り組みたいのが、新患を増やすことです。特に新規開業した歯科医院は、自院の存在を多くの人に知ってもらうためにマーケティング施策に力を入れましょう。集患対策としてはホームページの制作をはじめ、SNSやWeb広告、チラシ、看板、フリーペーパーなどがあげられます。
パソコンやスマートフォンの普及により、歯科医院の公式ホームページをクリニック選びの参考にしている患者さんも増えているため、ホームページの制作は必須です。ホームページを制作する際は、SEO対策など歯科医院のマーケティングに強いプロに依頼するのがおすすめです。
また、地元の自治会や教育機関、近隣企業などに挨拶回りを行って地域とのコミュニケーションを図ることも、長い目で見たときに集客効果を期待できます。
歯科医院の経営を安定させるには、新患だけでなく再診の患者さんを増やすことも大切です。
再診の患者さんを増やすうえでカギとなるのが、患者さんとのコミュニケーションによる信頼関係の構築です。要望にしっかりと耳を傾けて患者さんの意思を尊重した治療を行うことにより、満足度が高まってリピート率の向上につながりやすくなります。技術面だけでなく、スタッフの対応や待ち時間の減少などサービスの品質を高める工夫も必要です。
そのほかにも子ども向けのサービスを充実させたり、予防治療や定期検診で再診を促したりといった方法もあります。
予約をキャンセルされると予定した売上がなくなるので、キャンセル率を減らす策を講じることも歯科医院の売上アップに有効です。
キャンセル率を減らす方法としては、「予約していると少ない待ち時間で治療を受けられる」といった患者側のメリットを伝えると良いでしょう。また、予約時や予約通りに来院した際に感謝の言葉を添えると、患者さんの満足度が高まり、次回も予約通りに来院してもらいやすくなります。
そのほか、予約日が近くなったらメールや電話でリマインドするのも、キャンセルの予防策として効果を期待できます。リマインドをする際は、年配の方は電話、若い方や忙しい社会人の方はメールなど患者さんに合った方法で行うのがおすすめです。
診療時間を長くすることで対応できる患者さんが増えるので、その分の売上アップを期待できます。また、夜間や休日も診療を行えば、これまでの診療時間では通えなかった会社員や学生などを集患しやすくなります。患者数を増やしたいのであれば、診療時間の延長や夜間・休日診療を検討しましょう。
ただし、診療時間の延長や夜間・休日診療を行うには、シフト勤務制を採用してパートタイムの歯科衛生士を増やすなどの工夫が必要です。また、労働基準法に違反しないように注意しましょう。
ホワイトニングやインビザライン、インプラント治療などの自由診療を提案することも、売上アップにつながります。
ただし、自由診療を提案する際は、決断を迫らないように注意しましょう。決断を迫ると患者さんに「高額な治療を押し売りされた」とネガティブな印象を与えてしまい、別の歯科医院に流れる可能性があります。そのため、自由診療を提案するにしても、治療を受けるかどうかは患者さんの判断に委ねることが大切です。
日頃からコミュニケーションを取って患者さんと信頼関係を構築しておくと、患者さんの悩みやニーズをうまく聞き出すことができ、最適な自由診療を提案しやすくなります。
歯科医院の純利益を増やすには、人件費や家賃、設備のメンテナンス費用などの固定費用を削減することが必須です。毎月の固定費を見直しながら、無駄な費用がないかを確認しましょう。無駄な固定費としてよくあるのは、患者数や売上に対してのスタッフの雇いすぎです。また、広告についても集客率が改善した後は数を少なくする必要があります。
ただ、固定費をやみくもに削減すると逆効果になる可能性もあるため、削減による影響も考慮しながら削るべきポイントを検討しましょう。
患者数や決算書などの診療データを分析しながら、集患戦略を立てるのも効果的です。実際の診療データを分析することで、自院が抱えている課題や求められていることを明確に判断しやすくなり、月間や年間の売上の予測にも役立てられます。
たとえば、患者さんの多い繁忙期の〇月に歯科衛生士を短期で雇ったり、繁忙期の売上から経費分を差し引いた利益をもとに設備投資をしたり、といったことが可能になります。経営面でも大きなメリットとなるため、集患戦略を立てる際は診療データをうまく活用しましょう。
歯科医院を安定して経営するには、新患をただ増やすだけでなく、プラスアルファの対策も必要です。患者にとって満足度の高い治療やサービスを提供できているか、患者数や売上に対して固定費は適切かどうかなどを考えながら戦略を実践していくことが、歯科医院を長く経営できるかにかかわってきます。
今回お伝えした歯科医院の売上を増やすコツを実践していきながら、より充実した経営を目指してみてはいかがでしょうか。
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