コロナ禍をきっかけに、医療全体でオンライン診療のニーズが高まりました。2024年(令和6年)6月の診療報酬改定では、歯科領域においてもオンライン診療に関する評価が新設され、制度面でも本格的な運用が可能となっています。こうした流れを受け、導入を検討する歯科医院も、少しずつ増えつつあります。
一方で、歯科ならではの難しさがあるのも事実です。カメラ越しでは口腔内を詳細に確認しにくいことや、触診や処置を前提とする治療が多いことから、オンライン診療には慎重な運用が求められます。この記事では、歯科医院がオンライン診療を始めるために必要な手続きや診療の流れ、導入のメリットや注意点について、わかりやすく解説します。
オンライン診療では、「初診は原則として対面で行うこと」が、厚生労働省のガイドラインで定められています。これは歯科に限ったルールではなく、すべての診療科に共通する基本的な考え方です。
ただし、診療前相談や紹介状、過去の情報提供書などを通じて十分な情報が共有され、医師と患者の間で合意が得られている場合には、例外的に初診からオンライン診療が認められるケースもあります。その場合でも、基本的には継続的な診療の一環として行われることが前提とされています。
また、オンライン診療は「かかりつけ医」が担当する場合に限られるなど、診療を行う医師と患者との関係性も重視されています。患者の安全を確保するためにも、これまでの診療歴や信頼関係を踏まえたうえでの運用が求められます。
オンライン診療を定期的に行う場合には、「診療計画書」の作成が求められます。計画書には、患者の主訴や疾患名に加え、診療の頻度や方法、緊急時の対応方法などを具体的に記載します。
作成した診療計画書は患者と共有し、内容について同意を得たうえで、2年間保存することが義務付けられています。オンライン診療は、医療機関が一方的に進めるものではなく、患者との合意形成を前提とした医療である点が、大きな特徴といえるでしょう。
令和6年(2024年)6月の診療報酬改定では、「情報通信機器を用いた歯科診療に係る評価」が新たに設けられました。これは歯科領域において、オンライン診療が制度上も正式に位置づけられたことを示すものであり、歯科業界にとって一つの前進といえるでしょう。
診療報酬の点数は、対面診療とオンライン診療で以下のように設定されています。
上記の通り、オンライン診療の点数は対面診療と比べて、やや低めに設定されています。これは、視診や触診を伴わないことによる診療上の制約を踏まえた調整と考えられます。あくまで対面診療を補完する手段として活用することが前提とされており、その位置づけが点数設定にも反映されているといえるでしょう。
オンライン診療に関する制度やルールは、社会状況や医療を取り巻く環境の変化に応じて、継続的に見直されています。実際に、新型コロナウイルス感染症の流行時には、特例的に初診からオンライン診療が認められた時期もありました。
そのため、オンライン診療を運用するにあたっては、厚生労働省が公表している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を定期的に確認し、最新の内容を自院の診療体制や運用方法に反映させていくことが大切です。
歯科のオンライン診療で多く見られるのが、治療後の経過確認です。抜歯や外科処置のあとに、痛みや腫れが落ち着いているかを確認したり、患者の不安や違和感を聞き取ったりする場面では、必ずしも来院が必要でないケースもあります。オンラインで状態を確認することで、患者の通院負担を軽減しつつ、必要に応じて早めに対面診療へ切り替える判断もしやすくなります。
次に、症状が安定している患者のフォローも、オンライン診療が活用されやすい場面の一つです。治療が一段落したあとの定期的な相談や、セルフケアの状況確認、生活習慣に関するアドバイスなどは、オンラインでも比較的対応しやすいとされています。
また、治療計画の説明や相談も、オンライン診療と相性の良いケースです。治療内容や今後の流れについて改めて説明したい場合には、資料を共有しながら話を進めることで、患者の理解を深めやすくなります。来院時間を確保しにくい患者にとっても、落ち着いて話を聞ける環境を提供できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
一方で、歯科のオンライン診療には、対応が難しい場面もあります。口腔内を直接確認できないことから、細かな状態の把握や触診、レントゲン撮影、処置を伴う診療は、オンラインでは対応できません。痛みの原因がはっきりしない場合や、急性症状が疑われる場合には、速やかに来院を促す判断が必要になります。
また、映像や音声のみでは、患者が感じている違和感やわずかな変化を正確に把握するのが難しいケースもあります。そのため、オンライン診療だけで無理に完結させようとするのではなく、「必要に応じて対面診療へ切り替える」ことを前提に、運用していく姿勢が大切です。
オンライン診療をスムーズに導入し、継続的に運用していくためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、歯科医院がオンライン診療を始めるまでに押さえておきたい基本的な流れを、順に確認していきます。
まず最初に行いたいのが、オンライン診療を導入する目的を明確にすることです。たとえば、治療後の経過確認を効率化したいのか、来院が難しい患者へのフォローを充実させたいのかによって、適した運用方法は変わってきます。
目的が曖昧なまま導入を進めてしまうと、実際の運用段階で「想像していたものと違う」と感じてしまうこともあります。自院にとってどのような役割を担わせたいのかをあらかじめ整理しておくことが、無理のない導入につながります。
次に行うのが、オンライン診療に関する制度やルールの確認です。歯科のオンライン診療は、厚生労働省が示す「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って実施する必要があります。初診は原則として対面診療で行うことや、患者の安全を最優先に考えた運用が求められている点は、導入前に押さえておきたいポイントです。
制度の理解とあわせて、必要な研修の受講も欠かせません。オンライン診療を行う歯科医師は、厚生労働省が定めるオンライン診療研修を受講し、修了証を取得することが求められています。研修では、制度の概要だけでなく、個人情報の取り扱いやセキュリティ対策、トラブル発生時の対応などについても学ぶことができます。
制度面の整理ができたら、次はオンライン診療システムの選定に進みます。予約管理やWeb問診、決済機能など、システムによって搭載されている機能はさまざまです。自院の診療スタイルやスタッフの業務負担を考慮しながら、必要な機能が過不足なく備わっているかを確認することが大切です。また、導入時や運用開始後のサポート体制が整っているかどうかも、選定時の重要なポイントになります。
システムとあわせて、診療に使用する機器や通信環境の準備も進めます。カメラやマイクの品質、インターネット回線の安定性は、オンライン診療の質に直結します。診療中に音声や映像が途切れると、患者の不安につながることもあるため、事前に十分な動作確認を行っておくと安心です。
必要な準備が整ったら、地方厚生局への届出を行います。オンライン診療を保険診療として実施するためには、所定の届出書類を提出し、定められた施設基準を満たしていることを示す必要があります。届出が受理されてはじめて、オンライン診療に係る診療報酬の算定が可能となる点にも注意が必要です。
その後、実際の運用に入る前に、院内で試験運用やシミュレーションを行っておくと安心です。スタッフ同士で診療の流れを確認したり、通信環境に問題がないかをチェックしたりすることで、運用開始後のトラブルを減らすことにつながります。
ここでは、歯科のオンライン診療がどのような手順で進むのか、順を追って確認していきます。
まず、オンライン診療を行う前に「診療前相談」を実施します。これは、患者の症状や口腔内の状態について事前に情報を確認し、オンライン診療が適切かどうかを判断するためのものです。
診療前相談では、診断や処方といった診療行為は行わず、あくまで情報収集や説明が中心となります。オンライン診療が可能と判断でき、かつ患者の同意が得られた場合にのみ、次のステップへ進みます。
診療前相談が完了したら、オンライン診療の予約を受け付けます。予約方法としては電話対応も可能ですが、アプリやWebを利用した予約管理を取り入れることで、医院側・患者側の双方にとって負担を軽減しやすくなります。
また、予約の変更やキャンセルがしやすい環境を整えておくことも、患者満足度を高めるうえで大切なポイントです。操作がわかりにくい場合には問い合わせが増えることもあるため、できるだけシンプルな導線を意識すると安心です。
予約が完了したら、診療前にWeb問診票の記入を依頼します。あらかじめ問診内容を把握しておくことで、診療当日のやり取りがスムーズになり、限られたオンライン診療の時間を有効に使うことができます。
重要な項目の記入漏れを防ぐためには、必須項目の設定や入力内容の確認機能を活用すると安心です。
診療当日は、患者が指定された時間にシステムへアクセスし、オンライン診療を開始します。歯科医師は事前に入力された問診内容をもとに、症状の確認や口腔内の状態を映像で確認しながら診療を進めていきます。
照明の明るさやカメラの位置によって見え方が大きく変わるため、必要に応じて患者に調整を依頼しながら進めることが大切です。また、通信環境が不安定な場合に備え、事前に接続状況を確認しておくと安心です。
診療が終了した後は、診療費の支払い手続きを行います。クレジットカード決済やオンライン決済など、来院せずに完結できる方法を用意しておくことで、患者の利便性を高めることができます。今後の来院予定がある場合には、窓口でまとめて精算する方法を選択できるようにしておくのも一つの方法です。
薬を処方する場合は、歯科医院から薬局へ処方箋情報を送付し、患者には薬局での受け取り、またはオンライン服薬指導を経たうえでの配送を選択してもらいます。オンライン診療では処方できない薬もあるため、あらかじめ対応できる範囲を整理し、患者にも分かりやすく説明しておくことが大切です。
再診や経過観察など「対面でなくても対応できる診療」をオンライン化することで、来院患者数を分散させることが可能になります。その結果、待合室の混雑を防ぎやすくなり、院内感染予防の強化や、限られた診療時間の有効活用にもつながります。
オンライン診療を活用することで、診療時間外に簡単な相談や処方への対応が可能になります。特に、矯正治療中のトラブルや急な痛みに関する相談など「今すぐ来院するほどではないものの、不安を感じている」といった患者のニーズに、柔軟に応えられる体制づくりが可能です。
オンライン診療には、地理的な制約を受けにくいという特徴があります。たとえば、離島や過疎地に住む方、仕事や家庭の都合で平日の通院が難しい方など、これまで接点を持ちにくかった患者層にも、医療サービスを届けられる可能性があります。
また、妊娠中の方や小さな子どもを抱える親世代にとっても、オンライン診療は利用しやすい選択肢です。こうした相談をきっかけに関係性が生まれ、将来的にお子さんの診療でも自院を選んでもらえるなど、長期的な信頼関係につながることも期待できます。
歯科医院までの移動が難しい高齢者の方や、障がいのある方、小さな子どもを育てている保護者の方にとって、通院は大きな負担になることがあります。オンライン診療であれば、自宅や職場から受診できるため、移動に伴うストレスが軽減され、通院のハードルを下げやすくなります。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、待合室での滞在に不安を感じる患者も少なくありません。オンライン診療であれば、待ち時間なく診療を受けることができるため、感染リスクの軽減につながるだけでなく、日々忙しい方にとっては時間の有効活用にもなります。
オンライン診療を安全に運用するためには、あらかじめ注意しておきたい点もあります。ここでは、歯科ならではの視点から、導入時に押さえておきたいポイントを確認していきましょう。
歯科診療では、口腔内の状態を視覚的に細かく確認することに加え、場合によっては触診によって得られる感覚も、重要な判断材料となります。オンライン診療ではこうした確認が難しくなるため、診断精度が下がる可能性がある点は否定できません。
そのため、問診票の内容を充実させたり、必要に応じて写真や動画の提出を依頼したりするなど、できるだけ多くの情報を集める工夫が欠かせません。また、診療中も一方的に説明するのではなく、患者の不安や違和感を丁寧に聞き取る姿勢が求められます。
インターネット接続の不安定さや、患者側の機器トラブルによって、音声が聞こえない、映像が途切れるといった事態が起こることがあります。特に、高齢の方や機器の操作に不慣れな方の場合、トラブルが発生した際に操作方法が分からず、戸惑ってしまうケースも少なくありません。
そのため、診療前に接続確認を行ったり、トラブル時の連絡方法をあらかじめ決めておいたりするなど、万が一に備えた対応を整えておくことが大切です。通信環境が安定しない場合には、無理に診療を続けるのではなく、対面診療への切り替えや再予約を提案する判断も求められます。
IT機器の操作に不慣れな患者へのサポート体制も、オンライン診療を運用するうえで重要なポイントです。すべての患者がスマートフォンやパソコンを問題なく使いこなせるとは限らず、予約アプリのダウンロードやビデオ通話の操作が難しく、途中で利用を諦めてしまうケースも考えられます。
そのため、画面の操作手順をまとめた簡単な案内資料を用意したり、スタッフが事前にフォローできる体制を整えたりすることが大切です。
また、院内スタッフへの情報共有も欠かせません。オンライン診療の流れや対応方法がスタッフ間で統一されていないと、患者への案内にばらつきが生じてしまいます。試験運用の段階でスタッフ同士が役割を確認し、共通認識を持っておくことが、安定した運用につながります。
歯科医院におけるオンライン診療は、対面診療に取って代わるものではなく、あくまで補完的な選択肢として位置づけることが大切です。制度やルールを正しく理解し、歯科ならではの特性を踏まえたうえで活用することで、患者と医院の双方にとってメリットを感じやすくなります。
導入にあたっては、制度やガイドラインの確認をはじめ、研修の受講や地方厚生局への届出など、事前の準備が欠かせません。そのうえで、自院の診療スタイルや患者層に合っているかを検討し、対面診療とのバランスを取りながら、無理のない形で進めていくことが大切です。
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